北ア常念山脈(長野) 蝶ヶ岳(2677m) 2022年5月28日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 2:06 三股駐車場−−2:20 林道終点−−2:31 吊橋−−2:40 力水−−2:47 ゴジラの木−−3:37 まめうち平−−4:15 蝶沢−−5:46 蝶ヶ岳 5:57−−6:35 蝶沢−−7:00 まめうち平−−7:36 力水−−7:41 吊橋−−7:49 林道終点−−7:57 三股駐車場

場所長野県安曇野市
年月日2022年5月28日 日帰り
天候小雨後曇
山行種類残雪期の一般登山
交通手段マイカー
駐車場三股の駐車場(第一駐車場)を利用。ハイシーズン前だが下山時は満車だった
登山道の有無あり
籔の有無無し
危険個所の有無無し
山頂の展望晴れれば大展望
GPSトラックログ
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コメント弱い冬型の気圧配置で強風予報のため、山頂直下まで風がブロックされる蝶ヶ岳へ。予報より天気が悪く朝4時過ぎまで断続的に雨が降り常念岳に続く稜線は雲の中だったが、その後は雲が高くなり山頂にガスはかからなかったが穂高は雲の中。予報通り冷たい西風が強く寒く僅かに新雪が積もっていた。往路ではアイゼン、ピッケルを使ったが下りではどちらも使わず、登りでも両者が無くても問題なしと分かった。標高2200m付近から雪が多くなり夏道が断続的に出ている状況で、木の階段がアイゼンで削られて悲惨な状況だった。この時期でも駐車場が満車になるくらい登ってくる人が多かった




深夜2時でも車が続々と上がってくる ゲート横から出発。いきなり雨粒が・・・
林道終点の登山相談所 蝶沢の吊橋
最終水場の力水 ゴジラの木
一時的に霧がかかった。雨は断続的に降っている まめうち平
標高1950m付近。本日初めて残雪登場 標高2000m付近。まだ雪は長続きしない
蝶沢。完全に雪に埋もれている 安曇野方面は明るいが雲が多い
標高2230m付近 標高2250m付近。雪がかなり増える
標高2280m付近でアイゼン装着 蝶ヶ岳ヒュッテで取り付けたと思われる目印
標高2350m付近 常念岳にかかっていたガスが切れた!
標高2380m付近。夏道が埋もれた尾根を直登 標高2470m付近。雪の急斜面を直登。夏道不明
標高2550m付近 光っているのは水田に映った太陽
足跡に積もった新雪。昨夜は雪だった様だ 標高2580m付近
雪に埋もれたお花畑を抜けてハイマツ帯へ。この先積雪無し 強風帯へ出る前に防寒着装着
地面にも新雪が残る テント場にはテントが2張。雪無し
野生動物用カメラ。レンズに分厚い氷が付いていた 山頂直下。全く雪無し
蝶ヶ岳山頂。冷たい強風で寒い! 蝶ヶ岳山頂から見た蝶ヶ岳ヒュッテ
蝶ヶ岳山頂から見た西側半分の展望。槍穂は雲の中(クリックで拡大)
蝶ヶ岳山頂から見た東側半分の展望。雲は多いが空が明るい
往路を下る まだ木が寝て夏道を邪魔している
木製階段はアイゼンで大きく傷ついていた 蝶沢横断
蝶沢から蝶槍を見上げる オサバグサはごく一部が咲き始め
苦労して調べた結果、コミヤマタカバミらしい マイヅルソウは蕾ばかりだった
イワカガミはまだ咲き始めたばかり ミソガワソウかと思ったがラショウモンカズラらしい
ニリンソウ。沢沿いにたくさん咲いていた ズダヤクシュ
力水(最終水場) コンロンソウっぽいが自信なし
種類不明。山野草は種類多すぎ たぶんクルマバソウ。名前の通り葉が輪生
ズダヤクシュ 三股
林道終点。続々と登ってくる スミレ類だが細かな種類は不明
ゲート到着 三股第一駐車場。下山時は満車だった
三股第一駐車場から見た蝶ヶ岳の稜線


 今週末は久しぶりに土日とも好天予報だがこれは下界の話で、気圧配置は弱い冬型であり等圧線の間隔からして山の上は強風であろう。下手をすると北アルプスでは雪の可能性がある。「てんくら」で確認すると北アルプス標高3000mでの風速は土曜日は20mを越えており、気温は氷点下3℃くらい。これでは稜線歩きは大変であり、西寄りの風を最後まで受ける必要が無い蝶ヶ岳が最適であろう。この時期はまだ雪があり楽しめるであろう。強風で気温は低いが予報では雨や雪は無く曇りでも展望も期待できるとのこと。雨の心配が無いのは有り難い。

 金曜夜に三股駐車場に入ると車の入りは10台程度と少ないが、残雪期の金曜はこんなものであろう。日中に日陰になりそうな南側に立ち木が茂った場所に車を突っ込んで酒を飲んで寝た。この時期にしては冷え込む予報で霜注意報が出ていたが、もう6月近いので気温が低いと言っても冬とは比較にならず、車の中では適温であった。

 翌朝は1時に起床、2時発とした。上空は昨夜は星空であったが今は星は見えず曇っているようだ。稜線に雲がかかっていないことを祈るしかない。三股では僅かに風を感じるだけであった。午前2時でも次々と車が上がってくるが、遠方からやってきた登山者だろう。

 今回の装備は10本爪アイゼンと軽ピッケル。日差しがあると思われるが強風で麦わら帽子の出番は無さそうなので日焼け止めのみ持つ。強風と低温で稜線に出るとかなり寒そうであるが、山頂滞在は短時間の予定なので防寒装備は通常の冬と同じとした。風はゴアでブロックできるだろう。

 この時間に歩き始めるのは私だけかと思いきや、林道に入ると先にライトの光が2つあって驚いたが、2人とも空身ですぐに戻っていった。三股は初めてで林道が登山道なのか確認していたのかもしれない。これ以外は登山者はいなかった。

 意外にも林道を歩き始めてすぐにライトの光に小さな雨粒が反射していることに気付いた。予報では雨はなかったので雨対策は防水効果が大幅低下したボロゴアしか持ってこなかったのでこの先がちょっと心配になる。思ったより冬型が強くて稜線で雲が湧いているに違いない。山頂到着時に雨とガスの可能性もありちょっと憂鬱に。それでも出発したからには荒天でも山頂を踏むつもりだが。

 林道は斜面が崩れた場所があったが車が通行可能な程度に片づけられていた。終点には車が一台。蝶ヶ岳ヒュッテ関係者だろう。

 常念岳方面の分岐を通過して沢沿いを上がっていくが、ここでは雪解けで増水した様子は感じられない。吊橋で蝶沢を渡り最終水場の力水にかけてはニリンソウが多く見られた。その名の通り1本の茎から2輪の白い花が咲いている。

 階段を上がって久しぶりに「ゴジラの木」を見てから「まめうち平」から北へ派生する尾根に乗るルートへ。雨粒が相変わらず落ちてくるがまだ樹林帯の中なので雨具無しでも濡れることはない。ただ、時々大粒の雨に変わることがあるのが気になる。一時的に霧がかかってLEDライトの光が散乱して前が見にくくなったが、すぐに霧を抜けた。

 尾根に乗ると本格的な登りが始まる。まだ風は弱く稜線の風の強さは分からないが、雨粒は相変わらず断続的に落ちてきており上空も星は全く見えないまま。間違いなく山頂は雲の中だろう。でも下界は雲は出ていないようで樹林の隙間から安曇野の夜景が見えていた。

 予想通り「まめうち平」までは全く雪は無かった。この先は傾斜が緩むので雪があるかと思ったらまだ雪は出てこない。シラビソ樹林帯の広い斜面の登り返しで標高1950m付近で最初の雪が登場したがぽつんとそこだけ残った状態で、周囲にはまだ雪は無い。標高2000mを越えて多少雪が増えたがまだ長続きはせず夏道を歩く区間が長かった。高度が上がると気温が下がり、ここで腕カバーと手袋、毛糸の帽子を装着。

 蝶沢は完全に雪に埋もれて流れは見ないが、しっかりとトレースが付いていたし雪はガチガチではなく適度な締まり方でキックステップが効くのでアイゼン、ピッケルは不要だった。蝶沢で樹林が開けて初めて常念岳が見えるが、残念ながら前常念岳より上部は雲の中であり、蝶槍の稜線も雲の中。私が山頂に到着する頃にはこの雲の層がもっと高くなってガスが晴れているといいのだが。予報では雨は無かったのだから最低でも雨は止んでほしい。

 蝶沢付近から徐々に残雪が目立つようになり、夏道と雪の上を交互に進んでいく。冬ルートがどんな付き方だったかもう忘れてしまったが、これだけ濃いトレースがあるのなら問題なさそうだ。それに雪が本格的に増えてからは竹竿にピンクリボンの目印が立っていてルートを示していた。雪が増えた頃には周囲は明るくなりライトが不要になり、遠くまで様子が見えるようになったので安心して歩けた。ただし雨は相変わらず断続的に降り、時々本降りの様相でゴアを着るか悩む場面も。でもシラビソ樹林帯で雨は直接当たらないことと、強い雨は短時間で終わってくれたのでゴアは着ないで済んだ。

 標高2250m付近から先は大半が残雪に覆われるようになり、夏道が出ている場所の方が少なくなった。標高2280m付近は急な雪面の横断があり、この先も雪が連続すると思われたのでアイゼンを装着して軽ピッケルを手にする。雪はもう繋がっているのでトレースはまだ上を目指すかと思いきや、斜面をトラバースするように続く夏道を忠実に進んでいく。小屋で取り付けたと思われる目印もそのようになっていた。時々現れる夏道の木製階段はアイゼンで痛めつけられていたが、周囲に雪が残っているのだからわざわざ階段を歩かなくてもいいだろうに。

 標高2350m付近の樹林の切れ目から常念岳を見通せるが、山頂にかかっていた雲が切れかけているではないか! やっと天候が回復してきたようだが雲の流れは速く、山頂付近は予報通り強風のようだ。でもまだここは稜線でブロックされるで風は弱い。

 標高2370m付近で長いトラバースが終わって小尾根の直登が始まる。ここも夏道の大半が雪に埋もれていて、細かくジグザグを切る夏道を正確に辿るのではなくショートカットで登る場面が多かった。

 標高2500m付近からは樹林帯を抜けて雪の急斜面をまっすぐ上がっていく。よく見ると足跡の上には新雪が積もっており、昨夜か今朝の雨はここでは雪だった様だ。ここで一時的に天候が回復して上空には青空が広がり日差しが! このまま晴れて山頂で展望を楽しめると思ったのだが、残念ながら森林限界を越えてハイマツ帯に入る頃には再び雲に覆われて日差しが無くなってしまった。

 夏場ではお花畑になっている斜面も今は一面の残雪に覆われて夏道は全く見えなかった。大滝山への道も雪に埋もれていたがトレースでそれが分かった。分岐の標識は完全に雪に埋もれているようであった。

 登山道がハイマツ帯に入るところで雪も終わって地面の上を歩くことになるが、この先は強風が予想されるのでアイゼンを脱いでからしっかりと防寒対策。ハイマツの谷を回り込んで斜面に出ると冷たい西寄りの風が一気に強まるが、まだここは稜線にブロックされて本当の風の強さではない。それでも新雪が飛ばされてきて地吹雪状態になり、顔が痛いことも。

 蝶ヶ岳ヒュッテのテント場にはテントが2張。ここは稜線東側直下にあって風が直接当たることはないが、さすがに無風とまではいかない。テント場にはほとん雪は無く稜線直下に残る程度であり、これなら温かく寝られるだろう。今日はどれくらいハイカーが上がってくるだろうか。外に見える人はテントの住人らしき一人だけであった。三股の車の台数からしてもヒュッテ宿泊者は10人いるかどうか程度であろう。

 テント場を突っ切って稜線に出ると冷たい西寄りの風が強いが思ったほどではない。予想では爆風だと思っていたが耐風姿勢を取るほどではなく、風のピークで多少体を風上側に傾けて歩く程度。でも気温が低いので体感的にはかなり寒く、風に吹かれて長時間歩くのはちときついかも。

 稜線に出てすぐに野生動物記録用のセンサー付きカメラが設置してあったが、レンズには分厚い氷が張っていて役目を果たしそうになかった。まあ、自然が相手なので仕方なかろう。

 無人の蝶ヶ岳山頂に到着。山頂付近には雪は全く無く夏山と変わらない。山頂にガスはかかっていないが残念ながら槍穂は完全に雲の中。大天井岳が雲の下ギリギリだった。東の空も低い雲で志賀高原の山々も全く見えなかった。当然ながら八ヶ岳、南アルプス、中央アルプスも全く見えなかった。それでも雨が降っていないだけマシだろう。

 風が当たらない場所でちょっとだけ休憩。おそらく時間経過と共に雲は取れてくると思うが、完全に晴れるまでにはかなりの時間がかかるだろうから、短時間で下山開始。登りで雪がある区間も雪の締まりが適度でアイゼンが無くてもキックステップで対応可能と分かったので、下りではアイゼン、ピッケルは使わなかった。

 この日初めての登山者とすれ違ったのはもう雪が少なくなってから。合計で4,50人とすれ違ったと思うが、通常の夏山シーズンと比較してもそん色ない人数だったと思う。装備はまちまちで、私のようにザックにピッケルを付けている人もいれば、軽装でピッケル、ストックとも無い人も。雪に慣れていればいいけど。

 帰りは花を探しながら歩いた。まだシーズンとしては早いので見かけた花は少なかった。オサバグサはごく一部の株が咲き始めたばかり。イワカガミは「マメウチ平」より下で咲き始めだがまだ蕾も多かった。イワカガミと同じエリアでコミヤマタカバミらしい花が咲き始め。葉っぱがクローバーと同じなので、種類はおそらくあっているだろう。水場付近からはミソガワソウに似た紫の花が目立つようになったが、帰宅後に調べたら花の付き方からしてラショウモンカズラだった。同じく沢沿いにたくさん咲いていた白い花はニリンソウ。名前の通り1本の茎から2輪の花が咲いている。ズダヤクシュももう咲いていた。林道で見かけたスミレは細かな種類は不明。ちなみに同時期に同じコースを歩いた人の記録を見たら私よりもずっとたくさんの花を見つけた人がいた。私はまだまだ甘いようだ。

 三股駐車場に到着すると満車であり、残雪期でもこれほど入っているとは驚きだ。駐車場から蝶槍が見えるが、上空はすっきりと晴ており蝶ヶ岳も今は青空だろう。しかし安曇野から見上げると蝶ヶ岳の奥には雲が見えていて槍穂はまだ雲の中らしかった。また、後立山も雲の中で、北アルプスの中では常念山脈が一番天気が良かったようだ。

 

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